私は、どんどん遠くなっていく二人を追いかけて一生懸命泳いでいた・・・つもり。
だけど、ゆらゆらと波に流されて、うまく進めない。
なんだか疲れてきたので休もうと思ったら、地に足が着かない事に気付いた。
もしかして、私、溺れ・・・
「おい!大丈夫か?」
耳もとで勝真さんの声がして、太い右腕が、私の身体を抱き寄せる。
ほっと息をついていたら、頭の上から勝真さんの怒った声がした。
「まったく、何をやっているんだ?!」
「えっ、あの、追いかけようと・・・」
怒る勝真さんに怯えながら言うと、勝真さんは小さくため息をついて言った。
「そんな事だろうと思ったんだ。戻ってきて正解だったな。」
「・・・ごめんなさい。」
私が謝ったら、勝真さんは急にニヤリとして言った。
「いや、むしろ好都合だ。」
「え・・・?」
どういう意味か理解できないでいると、勝真さんの左手がお尻に・・・
「おっ、水着が食い込んでいやらしいな・・・」
言いながら、勝真さんは確かめるようにお尻のあちこちをナデナデした。
「ちょ・・・やめて下さい、勝真さん!」
慌てて離れようとすると、勝真さんが意外そうな顔で手を離す。
「命の恩人にそんな事を言っていいのか?」
そうだった!
足が着かないこの場所で手を離されたら・・・
「ひゃぁ〜!」
必死で勝真さんに抱きつくと、勝真さんは苦笑で私を抱き締めた。
「少しからかい過ぎだな、すまない。」
あの・・・顔と言葉はとっても殊勝なんですけど、手は相変わらずお尻に・・・
「勝真さんのエッチ!」
抱き付きながら睨むと、勝真さんは苦笑のまま自嘲的に首を傾ける。
「さっきからずっと、お前に触れたくて仕方なかったんだ。少しくらい、いいだろ?」
う・・・そんな風に言われると・・・
私が言葉に詰まると、勝真さんはまたニヤリとしてお尻を撫で始めた。
恥ずかしさに耐えて目を瞑る。
「・・・花梨・・・」
耳もとで勝真さんが低く囁いた。
私の苦手な、腰にくる声。
どうしよう、エッチな気分になっちゃいそう。
私がゾクッと身体を震わせたら、勝真さんの手が水着の中に入ってきた。
や、それはダメ!
「全然少しじゃないじゃないですぅ〜!」
泣きそうになりながら身を捩ると、勝真さんはすごく楽しそうにククク、と笑った。