お化け屋敷っていうから、最初に乗った時はドキドキだったけど、ここに居るお化けはお茶目で大好き!
今は冬季限定の特別バージョンなんだって!
ワクワクしながら勝真さんの手を引いて列の最後尾に並んだら、勝真さんがキョロキョロしながら言った。
「お前・・・ここお化け屋敷だろ?」
「はい。」
「怖いぞ?いいのか?」
勝真さんが私のことを脅かそうとしてる。
「全然、平気ですよ!」
私がニコニコして言ったら、勝真さんが少したじろいだ。
「ホントかよ?!」
私は、あることに気がついた。
「勝真さん・・・」
「な、なんだ?」
「手が汗ばんでる・・・」
「・・・気のせいだろ。」
絶対、気のせいじゃない。
勝真さんってもしかして?!
「あ、うしろ・・・」
勝真さんがビクッとしてすごい勢いで振り向いた。
やっぱりお化けが怖いんだ?!
私にからかわれたって気付いた勝真さんは、憮然とした顔でガシガシと頭を掻くと、話し始めた。
「千歳がガキの頃・・・怪奇現象を推理で暴くって言ってさ、夜中に心霊スポットめぐりしてたんだよ。で、一人じゃ怖いもんだから、俺をお供に連れて行くわけ・・・でもさ、ガキの推理でそんなもん暴けるわけないし、怖い思いをさせられるのは俺ばっかりで・・・千歳は俺の背中に隠れて見てなかったりするんだぜ・・・」
私は思わず吹き出しちゃった。
「笑い事じゃないぞ・・・居るんだからな・・・本当に・・・」
勝真さんが何かを思い出すような顔をして青ざめた。
・・・み、見たんだ・・・勝真さん・・・
私も、怖い話の類はダメだから、これ以上は聞きたくない。
「勝真さん、大丈夫!ここのお化けはみんなカワイイですから。」
「そ、そうだよな、作り物だよな。」
「はい。それに、私がついてますから。」
何気なく言ったんだけど、勝真さんはその言葉に何を思ったのか、ニヤリとした。
「よし、じゃあ、ずっとくっついてろよ。」
そう言って私を抱き寄せる。
「ちょ、ちょっと、勝真さん?」
慌てて離れようとした私の耳もとに、勝真さんが囁いた。
「こうしてないと、怖くて正気でいられない・・・」
やあっ、その声、なんか分かんないけど腰のあたりがゾクッとするよっ?!
それから乗り物に乗るまでの間、私はいいように勝真さんにベタベタされた。
もしかして、騙されたのかな?