このアトラクションは、子供のころ大好きで、ディズニーランドに来ると何度も乗ってたのだけど、いつの間にか行かなくなっちゃったんだよね。
でも、今日はクリスマスバージョンになってるっていうから、久しぶりに乗ってみた。
プールの匂いが懐かしい。
「クリスマスソングなんですね。」
泉水さんに話しかけると、にっこりと笑って頷いてくれた。
この笑顔が、いつも私をホンワカ安心させる。
「久しぶりに『小さな世界』のアレンジも聞きたかったのですが、クリスマスソングも楽しみです。」
「アレンジ?」
「はい。世界中の民俗音楽の要素を取り入れた編曲が施されているのですよ。」
「それってけっこうすごい事なんですか?」
「その通りです。同じメロディー、同じテンポで切れ目なく続く音楽に、様々な民俗音楽の特徴を加えるのは、容易ではないと思います。」
「へえ・・・」
こういう事を真剣に話す時の泉水さんの表情は、男っぽくてカッコイイ。
「子供の頃は、このアレンジが聞きたくて、来る度に何度も乗っていました。今思えば、父の血が騒いだのでしょうね・・・」
泉水さんも何度も乗ってたんだ。
「私も子供の頃、来る度に何度も乗ってました。」
嬉しくなってそう言うと、泉水さんも嬉しそうに私を見た。
「花梨さんもですか?」
「はい。世界中の子供たちが仲良く同じ歌を歌ってるのが好きで・・・」
「そうでしたか・・・」
そう言うと、泉水さんは私の肩を抱いて引き寄せた。
ちょっとドキッとしたけど、私も身体を預ける。
泉水さんって、こういう男っぽい事をする時も女友達みたいに自然で、エッチな感じがしない。
「子供の頃の貴女と私が、同じものを見て感動していたこと・・・とても嬉しいです。」
泉水さんはそう言って、私の頭に優しく頭をつけた。
「私もです。」
泉水さんがそんな風に言ってくれると、なんだか自分がすごく幸せに思える。
パーテーションをくぐると、ガラリと音楽の雰囲気が変わった。
「流石ですね・・・」
頭の上で泉水さんが呟いている。
多分、アレンジのことを言っているのだと思う。
私はどこが流石なのか、聴いても分からない。
尊敬の気持ちが好きっていう気持ちになって雪みたいに心に積もる。
でも、すでに私の心の中はかなりの積雪で、これ以上積もったら雪崩になっちゃうかもしれない。
私は、なんとなく泉水さんに触りたくなって、右手の近くにあった泉水さんの腿を撫でた。
ビクッと泉水さんが震える。
「あ・・・ごめんなさい、びっくりしちゃいました?」
言いながら顔を上げたら、泉水さんは真っ赤だった。
「す、すみません、少し・・・驚いてしまいました。」
少しって、泉水さん、めちゃめちゃ慌ててるみたいよ?
女の子の腿を触っちゃいけないのは分かるけど・・・男の人もダメなの?




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