このアトラクションはクルーザーに乗ってジャングルを探検するんだよね。
ナビゲーターのトークが面白いから何度乗っても飽きないの。
頼忠さんはディズニーランド初めてなんだって。
子供の頃は関西に居たからね。
私は、ナビゲーターのトークに笑ったり、ワニに驚いたりしてる頼忠さんを見てばかりいた。
あまり感情を表に出さない頼忠さんのいろんな顔が見られてラッキーかも。
クルーザーが滝の下を通る。
水しぶきがかかってちょっと寒い。
そう思っていたら、いきなり後ろから手が伸びてきて抱き寄せられた。
「え・・・」
驚いて自分の身体を見下ろすと、コートに包まれている。
それを見てやっと、頼忠さんが、着ているコートの中に私を引き入れてくれたのだと分かった。
びっくりした・・・
頼忠さんはいつも突然だから、いちいち心臓が跳び上がっちゃう。
事前に一声かけてくれたら、私も心の準備ができるんだけど・・・
やっと落ち着いたので、頼忠さんの胸にもたれて滝を見る。
頼忠さんの匂いと温もりに包まれて、心まであったかい。
滝を過ぎても、頼忠さんは私を離そうとしなかった。
本当は、頼忠さんの顔を見たいんだけどな、と思って見上げたら、頼忠さんは申し訳なさそうな顔をした。
ほっぺたが少し赤い。
自分でそうしたくせに申し訳なさそうにしてる頼忠さんが可笑しくて、私は再びその胸にもたれた。
クルーザーが、呪われているという宮殿に入っていく。
暗い中で何も見えないと、それ以外の感覚が敏感になるみたい。
頼忠さんの体温ばかりが気になる。
その上、頼忠さんの息が耳にかかって、なんかエッチな気分になってしまった。
・・・キスして欲しい。
初めてのキス以来、頼忠さんは帰り際に必ずキスをくれるようになった。
最初はドキドキして心臓が壊れちゃうかと思ったけど、何度もされるうちに慣れてしまって、こんな風に、キスして欲しいとまで思うようになってしまった。
こんなエッチな女の子なんて、頼忠さんに嫌われちゃうかも、と思っていたら、頼忠さんの腕に力が入った。
もしかして、私の思ってることが、伝わっちゃった?!
耳にかかる頼忠さんの息が熱い。
強く抱きしめられて、胸が・・・え、胸?!
見下ろすと、私の小さな胸は、頼忠さんの腕で立派に押しつぶされていた。
ちょ、ちょっと待った!
私が顔を上げたのと同時に、クルーザーが宮殿から出る。
頼忠さんもそれと同時に離れた。
慌てて振り返ると、頼忠さんは、なぜか超ブルーな顔でウエスタンリバー鉄道を見上げていた。
そんな表情の割に頬が赤いのがミスマッチで、頼忠さんが何を考えているのか、よく分からない。
頼忠さんも、けっこうエッチなこと考えてたりして・・・そんな・・・まさかね・・・