砂浜で準備体操をしていると、イサト君がビーチボールを持って走ってきた。
「花梨、ビーチバレーしようぜ!」
遅れて彰紋君が走ってくる。
「待って下さい、イサト・・・」
「おっ、悪ぃ。」
息を切らせる彰紋君にイサト君は頭をかきながら謝ると、再び私に向き直って続ける。
「彰紋と三人でさ。」
わ、楽しそう。
「うん!」
思いっきり頷くと、イサト君と彰紋君もぱっと顔を輝かせて逆方向に駆け出した。
私が動くまでもなく、等間隔に距離を取って三角形を作ってくれる。
「いくぜ!」
まずはイサト君が私に向かって軽めにボールを打つ。
「ハイ!」
バレーボールはけっこう自信があるんだ。
大きくレシーブして彰紋君へ。
ボーッと私を見ていた彰紋君が慌てたように片手で私に打ち返す。
ん?
ぼんやりするなんて、彰紋君らしくない。
そう思いながらも、私はイサト君へ向かってトス。
するとイサト君まで私を見て焦った顔をした。
そしてボールを打ち返さずに受け止めると、大きく手を振った。
「だ〜〜っ、やめやめ!」
「どうしたの?」
「お前はそこで見てろ!」
「ええっ?!なんで?!」
私、何かした?
そう思いながら彰紋君を見ると、彰紋君も申し訳なさそうな顔。
「すみません、花梨さん。しばらくイサトと二人でやらせて貰えますか。」
彰紋君まで?
私が目を丸くしているうちに、イサト君は元の場所へ踵を返す。
「・・・ったく、あっちこっちプルプルさせやがって目の毒なんだよ・・・」
そう呟いたように聞こえたんだけど、よく意味が分からない。
仕方ないので、私は二人のラリーを座って見ていることにした。
イサト君がさっきと同じように軽めのサーブを打つ。
彰紋君が難なくトスで返すと、今度はイサト君が大きなストロークで強いサーブ。
彰紋君も動じずしっかりレシーブで受け止めて返す。
二人ともすごく上手。
さっきのは何だったの?
ラリーはどんどん白熱していく。
イサト君が全力で打つサーブを、彰紋君が必死でレシーブしてる感じ。
二人とも、右に左に激しく動いている。
と、彰紋君がレシーブしながら何かに躓いて倒れた。
そのせいで横に逸れたボールをイサト君が必死で追いかけて、拳で打ち返す。
イサト君の打ったボールは、すぐ下に逸れて、砂で遊んでいた男の子の頭に当たってしまった。



「彰紋君、怪我はない?」

「ボク、大丈夫?」





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